健康診断で高血圧、高血糖、高脂血症、肥満などを指摘された事のある方はいらっしゃいますか?異常の程度が軽くても、これらは相互に絡み合って糖尿病や心臓病などの生活習慣病のリスクを何倍にも高めます。こうした生活習慣病のメカニズムに歯周病が大きく影響しています。
繰り返しますが、歯周病は細菌の感染による慢性の炎症です。
細菌の作り出す毒素や炎症を引き起こす物質が患部から血液中に入り、全身に悪影響を及ぼします。(心内膜炎などがそれに当たります)
糖尿病、骨粗鬆症などがあると歯周病の進行が速く、治りも悪くなります。
たかが口、ではなく、全身との関わりで捉える事は歯周病の予防、生活習慣病の予防、双方にとって大切と言えます。 |
爺様との会話から。壱(口語体と文語体が混ざります。すいません。)
何言っとる。歯ぁ無いで歯周病にはならんだろ。歯の周りの病気だろ?
…確かにな。
歯周病とは厳密に言うと歯周組織〔セメント質(歯の根の一番外の層)、歯槽骨(歯の周りの骨)、歯根膜(セメント質と歯槽骨をつなぐ繊維)、歯肉(はぐき)〕の内の2つ以上が病気である事をこう呼びます。
確かに主の説明が歯絡みばかりですが、肉、骨がまだ残っていますので無歯顎だから無関係という訳ではありません。
入れ歯が原因で義歯性歯肉炎っていうのもあるよ。ちょっと違う方向だけどカンジダ症なんてのもあるから安心しとれんよ。 |

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歯石は2種類に分けられます
■見える場所にある緑上歯石
・色は黄色っぽい
■見えない場所(歯と歯ぐきの隙間)に入り込んだ緑下歯石
・濃い赤褐色~黒色
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歯周病の第一段階は歯肉に限局した炎症「歯肉炎」歯や肉に付く汚れ(歯垢)が原因です。
食べかすも関係しますが、主は垢です。(ですから絶食していても溜まります)
その汚れの中の細菌の出す物質によって肉が腫れ、出血しやすくなります。
そして歯石。その歯の周りに付いた汚れに唾液の成分(カルシウムとかリンとか)が混ざり形成されます。
(鍾乳洞、鍾乳石を想像してもらえれば解り易いでしょうか)
歯は歯根膜によって噛む衝撃を緩和している為、完全に固定されている訳ではありません。
炎症が歯根膜に及ぶと沈み込みの幅が広がります。
歯が沈み込む度、歯石が歯ぐきを削り傷ができます。
傷口から細菌が入り内部へ炎症が広がります。
後はこれの繰り返し。
その歯を中心に骨をも溶かしながら広がってゆきます。
縁上歯石と縁下歯石の色が違うのは唾液由来と血液由来の色の違いなのです。
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■歯肉のきわの部分が少し赤くなっている。ときどきハミガキ時に出血がみられる。
■レントゲンを見てみると、歯と歯の間の隙間(黒い部分)が見えてきている。
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■歯と歯の間の歯肉がぷっくり腫れている。軽度に比べ赤い部分が大きく、ハミガキ時に出血が頻繁にみられるようになる。
■レントゲンの方は、歯と歯の間のアゴの骨がとけ、隙間が大きくなり、根の先の部分でくっついている状態。そのため少しずつ歯の動揺がみられる。
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■歯肉が真っ赤に腫れあがり、出血はもちろん膿も出るようになる。
そのため口臭もきつくなる。
■レントゲンは歯との隙間があき、アゴの骨が完全にとけてしまい、歯ぐきだけでかろうじて歯がくっついている状態。そのため今にも抜けてしまうぐらいに動く。
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